女性は、男性に比べてより少ない飲酒量、より短期間(男性の半分)でアルコールの害を受け、アルコール依存症や肝臓障害、すい臓障害など、アルコール性の内臓疾患になってしまいます。
この理由は、女性は男性に比べて体が小さく、肝臓の大きさが小さいことがあります。また、体脂肪は男性より多いので、その分だけ水分が少ないといえます。アルコールは脂肪には溶けにくいため、お酒を飲んだときの血中アルコール濃度が男性よりも高くなります。さらに、女性ホルモンにはアルコールの分解を抑える作用があるといわれています。
女性にとっての適量は、男性よりも少量であるという認識をもちましょう。
1984年と2003年で比較すると、女性のアルコール依存症者数は倍以上の数になっているというデータがあります。また、依存症者についての特徴は年代別に異なります。20代、30代では摂食障害や薬物依存などを併発している傾向が見られます。30代後半、40代では生活や仕事のストレスが原因となっていることが多くあり、50代、60代以上では、配偶者を亡くしたことや、体の衰えによってお酒に弱くなることが原因となりやすいようです。
診療・入院に至るまでの経緯についても、女性の場合は周りの気づきが遅いことが特徴として挙げられます。
妊娠中・授乳期にお酒を飲んでしまうと、アルコールは胎児・乳児の脳や体の発育に影響を及ぼす危険性があります。それは、妊娠中は胎盤を通して胎児に、授乳期は母乳を通して赤ちゃんに、アルコールが運ばれるからです。
妊娠中や授乳期はお酒を飲むのをやめましょう。予防のためには、妊娠の可能性があると分かった段階から飲酒をしないようにすることです。また、母乳で子供を育てる場合には、授乳の全期間において、禁酒する必要があります。