少量のお酒を食前に飲むと、胃液の分泌を促し、食欲を増進させる効用があります。しかし、空腹状態でたくさんのお酒を飲むと、胃腸を強く刺激し、粘膜を荒らしてしまいます。また、胃腸に何もない状態ではアルコールが吸収されやすいため、急激に血液中のアルコール濃度が上がり、さまざまな障害が起こりやすくなります。
お酒と一緒に栄養のバランスのとれたもの、特にタンパク質や脂質を含んだ食物を食べると、アルコールと胃の粘膜の接触を緩和し、アルコールの吸収のペースがゆるやかになり、それによって胃腸障害を予防することができます。食べ物によって胃が活動し、腸との間にある弁膜を閉じることで、アルコールの腸への移動を遅らせることもできます。また、食べ物に含まれる水分は、血液中のアルコール濃度を薄める役割も果たします。
どのくらいの酒量が適量なのでしょうか。アルコールの代謝能力には個人差があり、お酒に弱い人や女性は、お酒に強い人に比べ、はるかに少ない量で酔ってしまいます。また、強い人であっても、体格の差や年齢の差、飲酒をするときの体調によっても酔い具合が違ってきます。
一般的にいえば、2単位ぐらいのお酒(ビール中びん1本、日本酒1合、焼酎0.6合を各々1単位と呼ぶ)を限度とすることです。このくらいの酒量だと個人差はあるものの、ほどよくお酒を楽しむことができるといわれています。
これを超えると、悪酔いやさまざまな障害が起こりやすくなるといわれています。
お酒は、飲む速度が速いと血液中のアルコール濃度が急に高くなり、早く酔ってしまうとともにお酒による体の障害が生じやすくなります。食べながら飲むという習慣は健康を確保するためにとても大切なことです。
生まれつきお酒に弱く、わずかのお酒を飲んでも顔が赤くなったり、吐き気を訴える人がいます。
アセトアルデヒドを分解する酵素のALDHには1型と2型があります。日本人の約46%の人は生まれつきALDH2型の活性が低いか欠けています。このタイプの人はアセトアルデヒドを分解する能力が低いため、少量のお酒を飲んでもアセトアルデヒドが体内に蓄積されていくので悪酔いしやすいのです。
この体質は生まれつき決まっているものであり、努力で飲めるようになることはありません。飲めない人にお酒を無理強いするのは、精神的、身体的に苦痛を与え、最悪の場合は死に至らしめることもある危険な行為です。